
フィボナッチが金融市場で使われるようになった背景
フィボナッチ理論が金融市場で使われるようになったのは、1970年代以降、テクニカル分析の普及がきっかけです。
それまでの相場分析といえば、経済指標や企業業績などのファンダメンタルズ分析が中心でした。
しかし、1970年代に入り、チャートの動きそのものから未来を予測しようという「テクニカル分析」が注目されるようになります。
この流れの中で、自然界の比率である黄金比やフィボナッチ数列が、なぜか相場の節目にも当てはまることに注目した投資家たちが現れました。
なぜ相場にフィボナッチが使えるのか?
投資家たちは、各波動の高値と安値を結び、その間をフィボナッチ比率で分割することで、
「押し目」や「戻り目」の予測に活用しようと試みました。
この考え方は徐々に広まり、現在では多くのチャートソフトや取引ツールに標準機能として搭載されるほど定番の分析手法となっています。
特にFXや株式、仮想通貨の世界では、フィボナッチ・リトレースメントが価格の反発ポイントや利確目安として広く信頼されています。
フィボナッチ・リトレースメントとは?
フィボナッチ・リトレースメントとは、相場の高値と安値を結ぶことで、
「どの程度戻したか」「どこまで押したか」を視覚的に測るためのツールです。
チャート上でトレンドの起点から終点をドラッグするだけで、
あらかじめ設定された複数のフィボナッチ比率に基づいた水平線が自動で表示されます。
よく使われる代表的な比率ライン
フィボナッチ・リトレースメントで表示される主なラインは以下の通りです:
• 23.6%
• 38.2%
• 50.0%
• 61.8%
• 76.4%
フィボナッチでできること
上昇トレンド中に一時的な下落(押し目)が起こったとき、
その下落が全体のどれくらいの割合かを測ることで、反発の目安やエントリーポイントを探るのに役立ちます。
また、利確ポイントの目安としても使えます。
高値から安値、あるいは安値から高値へとフィボナッチを引くことで、
1.618倍や2.618倍といった拡張ラインが表示され、利益確定の参考にすることができます。
多くの人が使うからこそ“効きやすい”
重要なのは、このツール自体が未来を予測するわけではなく、
多くのトレーダーが同じラインを見ているからこそ、意識されやすくなるという点です。
価格がラインに近づくと、売買の注文が集中しやすくなり、結果的に反発や転換が起こりやすくなります。
実際によく使われる比率とその意味
フィボナッチで特に意識されるのは、以下の3つの比率です:
• 38.2%
比較的浅めの押しや戻り。トレンドが強いときに出やすい水準。
• 50.0%
フィボナッチ由来ではないが、経験則的に多く意識される“半値戻し”。
• 61.8%
最も有名な比率であり、黄金比に基づく強力なサポート・レジスタンスライン。
結局、どのラインを見ればいいの?
人によって使い方は異なりますが、個人的には**「50%だけでも十分」**だと思っています。
なぜなら、複数のラインがあっても「どれかには当たる」という見え方になりがちだからです。
相場が動いたら「だいたい半分くらいまで戻すかもな」と、ざっくり見ておくぐらいが、
かえってブレずに判断できるというのが私の実感です。